ときめきメモリアル
機種:SS
ジャンル:恋愛シミュレーション
ストーリー:新しい学園生活への期待に胸膨らむ、入学式。これから三年間通う事になる『きらめき高校』で、一体どんな事が起こるのだろう。この学校には伝説の樹があって、卒業式の日にその下で女の子から告白して結ばれた恋人達は、永遠に幸せになれるという。隣には、みんなの憧れの的、幼なじみの藤崎詩織がいる。彼女や、これから出会う友達と一緒に、青春を謳歌しなくちゃ! 卒業の時を迎える、その日まで……。
最終目標:女の子との会話やデートを繰り返し、己を鍛え、好きな子の心を射止めよう。三年後の卒業式のその日、伝説の樹の下であの子からの告白を受けられるように。
鯨波評:まさにときめき! そしてメモリアル! 男性ギャルゲーマーのみならず、パンピーさんまでも結構な確率でハマらせたBIGタイトル。これほどに伝説と化したギャルゲーは他にないでしょう。凄まじいネーミングセンスの学校も、こんな女現実にはいねーよ的な女の子達も、その嘘臭さがたまらなくイイ! どうせ憧れの世界、これくらい現実離れしていたほうが、かえって気持ちがいいというものです。
才色兼備、全てにおいて非の打ち所のないヒロイン藤崎詩織をはじめとして、出てくる女の子達はみんな個性的。結構目移りしちゃうかもしれません。しかしそこがこのゲームの落とし穴。うっかり浮気心を出してしまうと、収拾がつかなくなって全員からすっぱりと嫌われる、なんて事態にもなりかねないので要注意。かといって狙った子だけを気にしていればいいというのではなくて、その他の女の子にも気を遣っていないと傷心イベントが発生、それを知った他の女の子、そして目当ての子にまで『女の子を傷付けるなんて最低』といった評価を受けてしまうのがかなりイタイ。しかも、ただデートを繰り返していればいいのではなくて、目当ての子が理想とするレベルまで自分を鍛えなければならない。勉強にスポーツに遊びにと、女の子によって求める部分が違うので、それを見極めるのもひと苦労。好きなデートスポットまでそれぞれ違うときてて、もう大変。勉強を頑張っておかないと、追試でデートの邪魔をされたりクラブ活動に支障をきたしたりするしね。結局それで好きな子が遠ざかるし。結構難しいゲームです。
キャラでは、詩織が結構好きだったな。成績優秀でスポーツ万能。おまけに美人でモテまくり。それをまったく鼻に掛けず、女の子からの人望も厚い優しい少女。好きな音楽はクラシック。ここまでカンペキ少女漫画ちっくなヒロインは賛否両論だった様ですが、私は好きでしたよ。確かに現実にはいそうにないけど、ホントにこんな子がいたらぜひお友達になりたい。マジでいい子なんだから。そのかわり、攻略は大変だったー。自分が凄いだけに、男の子の理想が他の子より飛びぬけて高いんだもん。レベルを上げるだけならできない事はないんだけど、詩織の許容範囲までレベルを上げてしまうと、他の女の子達が主人公にときめいてしまってそっちの対処に追われる羽目になってしまう(泣)。詩織は他の子よりときめきUP度が低いから、詩織狙いで他の子から告白を受けてしまって泣いたプレイヤーが沢山いたらしい。ていうか、私もそれはやったさ。おかげで、告白してきた子との思い出のシーンがとても少なくて、オマケのアルバムモードの写真がつまらなかった。もちろん、ちゃんとやり直して憧れの詩織ちゃんから告白されたけどね(笑)。
そして何より! 私が一番、誰よりも好きだったのが、きらめき高校の理事長の孫息子にして伊集院家の御曹司、伊集院レイ様! 腰まである金の髪をなびかせ、入学した途端に主人公の前に颯爽と現われ、ひとをクズ扱いするおぼっちゃま! バレンタインにはトラックの荷台からはみ出るほどのチョコをもらい、ふたこと目には「どうした庶民!」。素敵だ、伊集院!(ほんとに、私ってこんなのばっか……マゾかなあ) 私設軍隊まで存在するあたり、どこかのライターではないが、『うる星』のM家と対決して欲しいですな。ぜひ。
知る人ぞ知るというか、多分プレイヤーはほぼ全員知っているんだけど、彼は隠しキャラでちゃんと攻略できるんです。実際、彼を攻略するのが一番簡単かも。他の女の子そっちのけで、三年間の内に75回以上彼に電話すればいいんだもん。時々起こるイベントさえクリアすれば、もうOK。なにしろ、どんなに成績が悪かろうが他の女の子に嫌われようが、彼の場合は一切おかまいなし。もっとも、誰かに電話できるのは日曜日だけだから、ある程度の期間が必要だけどね。最初は電話しても全然相手にされずに切られてしまうんだけど、少しずつ、色々な話をしてくれるようになります。ま、ほとんどがおうち自慢だけどね(笑)。ダイヤでできた漬物石の話とか、内容は面白いです。てゆうか、伊集院家ともあろうものが漬物は自家製らしい。庶民の漬けたものは口にできないのかも。それ以前に、漬物食うのかね。
卒業式に、いきなりこれまでとは打って変わった態度で顔を赤らめながら告白してくるレイ様は麗しい! 「ひどい事ばかり言ったのに、何度も何度も電話してくれた……」って、そりゃそうよ! 何しろ、75回だもん! 本当は「電話の向こうで泣いていた」レイ様がたまらなく愛しいっす。
しかし、ただ攻略するだけではあき足らず、私は究極の攻略を試みたのでした。名付けて『レイ様完全無欠完ペキ攻略』(まんま)。つまり、ただ告白されるのではなく、レイ様よりも成績優秀、スポーツ万能にして、卒業後留学する事になるレイ様の後を追うために、スポーツで留学できるようにテニス部に入部、インターハイでレイ様に応援にきてもらい、クラブ合宿ではレイ様の風呂場を覗き見、クリスマスパーティでのプレゼントはレイ様等身大ポスターをゲット、そして三年目のバレンタインにはレイ様からチョコレートをもらい、卒業式の日に伊集院家の執事、外井さんから告白された上でレイ様の告白を受ける! というもの。
これが一筋縄では行かない。何しろまずインターハイ。これに参加するためには、三年間の内に試合で8回勝たなければいけない。第三日曜日の部活の日には必ず参加(しないと退部になる)、平日にも部活を取り入れ、体力を養わなければならない。そうすると容姿も下がり、成績も下がる。テストで赤点、補習も夢じゃない。補習の日と部活の参加日が重なっているので、補習=退部、となってしまうのでこれは避けなければならない。
そして容姿が下がると美樹原愛の出現率が下がる。美樹原は初登場時クリスマスかバレンタインにしか出てこない上に、バレンタインには必ずチョコ持参で現われる。しかも二年目までに登場させておかないと、三年目には無条件でチョコを持って出現する。三年目のバレンタインにチョコを持ってこられると困るので、二年目のバレンタインまでには美樹原を出現させておかなければならない。だから、ある程度のレベルまでスキルを上げておかなければならない訳だ。そう、レイ様のチョコレートをゲットするためには、三年目のバレンタインに、他の誰からもチョコをもらってはいけないのである。もちろん、義理チョコもだめ。
つまり、二年目のバレンタインまではそこそこ女の子の機嫌を取りつつ、美樹原を出現させ、そこまで行ったら今度は女の子に嫌われまくる。電話をしてはデートの約束を取り付け、必ずすっぽかし、誘われれば振りまくる。そして傷心度をUPさせ、女の子の間に飛び火させる。そうすればインターハイではレイ様が応援に駆けつけてくれて、もちろん優勝を目指す。そしてクラブマスターになれば留学の道が開ける。レイ様の風呂場を覗けるかどうかとクリスマスに等身大ポスターをゲットできるかどうかはまさにランダムなので、根気良くロードをかます。合間を見てちまちま勉強、テストでは常にレイ様よりも上位を狙い、その間にも空いている日曜日にはレイ様に電話。外井さんの告白を受けるためには、三年ともクリスマスに体力自慢の肉体美で外井さんの目を眩ませてパーティに参加しなければならない(普通は、パーティに参加するには容姿を高くして伊集院家のパーティにふさわしいと外井さんに認めさせるんだけど、体力が一定値以上だと外井さんが顔を赤らめて内緒で入れてくれるのだ。外井さん、男性なんだけどねェ・笑)。そしてバレンタインには、レイ様の手作りチョコをゲット!! 手に巻いた包帯が、レイ様の努力の証だ(誰かひとりからでもチョコをもらってしまうと、レイ様は手に包帯を巻きつつもチョコをくれないんだよー)! その勢いで、卒業の日には伝説の樹の下で長い髪を美しく解いたレイ様からの告白……。ああ、長かった……。ときメモプレイヤーなら、これがいかに大変な事であるか解って頂けるでしょう……(笑)。
でもね、レイ様。告白の時に、自分の事を『普通』と言うのだけはやめて下さい。普通の人は、金の湯船に浸かったり、同級生を狙撃したり、あまつさえ記憶操作をやっちゃったりなんてしません(笑)。
それにしても、隠しキャラである伊集院レイについて、制作元であるコナミが殆どにおわせていないのは見事です。攻略の仕方は発表しているけど、隠れた部分についてまったくといっていいほど情報がない。いやあ、その徹底ぶりは立派だ。
まあ、伊集院の事はともかくとして、これはプレイしていない人にはオススメしますよ。こういうジャンルが好きな人限定、ですが(笑)。自然でウザくないフルボイスも、コナミ矩形波倶楽部のサウンドも魅力的。『こたつでみかん』『二人の時』が最高! やり応えは充分にあり! です。