UP20030618
どしゃぶり
それはもう、ものすごい降り具合だった。 水。水煙。雨。 それしか見えない。 つまりが、景色が見えないほどの、大雨。 ザアアアアアアアアアアアアアアアアア。 地面に叩きつけられる、ものすごい量の水。 この空のどこにこれだけ水があったのだろうかと、問いただしたくなる位だ。バシャバシャと水が地上に叩きつけられ跳ね返るさまは壮絶で、すでに地面というよりは水面である。 「…………」 棋院会館入り口。 たった今、正面玄関を出てきたヒカルは、この上ない位に顔をしかめた。 ドサリ。背負っていたリュックを力なく足許に落とす。 「チクショウ……なんだよォ」 傘なんて、持ってきてなかった。 もっとも傘など持っていたところで、この大雨では大して役にも立たなかったかもしれないが、ないよりは幾分かマシだ。何もないままここで外に飛び出せば、駅にたどり着く前に濡れてしまうどころの騒ぎではない。一瞬にしてずぶ濡れになってしまうだろう。 広い屋根があるにもかかわらず、すでにヒカルの立つ玄関付近にまで、地上を流れる水が触手を伸ばしてきそうな勢いだ。それほどの大雨。 悩む。 だがどうしようもない。 ここでぼんやり待っていたところで、この大雨はそう簡単に止んではくれないだろう。ずぶ濡れの格好で電車に乗り込むのはいささか恥ずかしいものがあるが、それは仕方がないと諦めるしかない。 「……やれやれだな」 そんな声が、背後から聞こえたような気がした。 この大雨の騒音の中だ。気のせいかとも思ったが、ヒカルは振り返った。 ――うわッ! 声に出しそうになって、飲み込んだ。 背後に現れた長身を、思いっきり見開いた眼で見上げてしまう。 「お、緒方先生」 「――……か」 「え?」 緒方の言葉を聞き取れずに、一瞬身を引いてしまうヒカル。 雨の音で、声がかき消されてしまったのだ。 そういう状況とこのタイミングで身を引いてしまうというのも、おかしな行動ではある。が、緒方に対して、自然とそういう反応が身についてしまっている最近のヒカルだ。 「今帰りか?」 そんなヒカルの態度を気にもしていないかのように、緒方は先程よりも大きな声で問いかけた。今度は聞き取れたその問いに、ヒカルはただ曖昧に頷く。本当にいつも、いきなり目の前に現れる人だ、などとピントのずれた事を考えながら。 この雨を目の前にして、緒方は焦っている様子も躊躇している風もない。 ヒカルの視界の隅に鎮座する、真赤なスポーツカー。今日、緒方は、棋院会館の正面玄関の屋根の下に愛車を駐車しているらしい。故にほんのわずかも濡れる事なく、彼は車へと乗り込める訳だ。 チェ、いいよな――などと、心の中だけで羨むヒカル。 しかしヒカルは、緒方に対し多少ご機嫌を取るなりお願いするなりして、その車に便乗させてもらおう、とかという行動に出る事はなかった。 遠慮や畏怖の念でもってあえてそうしない、という訳ではない。緒方相手にそういう行動自体、まるで思いつきもしないのだ。 迷わずこの雨の中を走って駅まで向かう気満々のヒカルは、そのまま「じゃあ」とおざなりに挨拶でもして駆け出すつもりでいた。 「おい、進藤」 行動をおこす前に唐突に呼びかけられて、ヒカルはまたも身構えた。なにやら哀しい習慣となりつつある。 しかしそれも仕方のない事だ。 緒方に名前を呼ばれて、その後の言葉がヒカルの思考の範疇に収まっていたためしがない。いつもいつも、緒方は突然に突拍子もない事を言い出すから。 一番最近の事といえば――『saiと打たせろ』……だったか。 saiはお前なのかとか、saiの正体は、とかという言葉の前に、いきなり打たせろ、だ。そんな言葉は、思いもよらなかった。 その後は顔をあわせればそれを言われる事ばかり恐れていたし、結果もその通りだったから、ある意味予想通りと言えなくもなかったのだろうが……だからこそ、あまり緒方に近寄りたくなくなってしまっていたのだ。 それに今そんな事を言われたところで、二度とsaiとは打たせてやれないのだし。 今度は一体何を言われるのだ、と、ついつい身を硬くしてしまう。 また、saiの事だろうか。 「天気予報くらいは、見て来るモンだぜ」 「……は」 天気予報。 ある意味予想外だが、究極に普通の事を言われて面食らう。 「……あー、うん、そーですね、ハイ」 だから、あまりといえばあまりな返答をしてしまった。しかし呟くようなヒカルのその言葉も、この雨の中で緒方に届いていたかどうか。 「まあ、たまには痛い目を見てみるのも薬になるかもしれないがな?」 ニヤリと笑う緒方。 ムカ。 どうせ行き当たりばったりの毎日です、などと自嘲気味な事も考えてしまうヒカルだが、思えばいつも、ヒカルのその計算能力皆無の行動をフォローしてきた緒方だ。今のヒカルには、対抗する術はない。 ふいと、ヒカルは緒方から顔を逸らした。 「ずぶ濡れで帰って、反省する事にシマス!」 勢いで言い放って、躊躇せずにその場を駆け出す。これ以上ここにいて、さらに皮肉めいた事を言われるのはちょっとイヤだ。この大雨の中、救いようもなくへこんでしまう。 緒方の傍をすり抜けたヒカルだが、緒方がそれで驚いたり顔色を変えたりする様子はなかった。本当に、たまにはいい薬だなんて事を考えているのかもしれない。 雨の中に足を踏み出して、ものの2、3秒。 見事に頭から水をかぶった。 まさに、あっという間。 バケツの水をかけられたかのような雨に、視界は遮られる。 踏み込んだ先は完全に水溜まりで、地上の見えているところなんて存在しない。靴が濡れる、などというレベルではなく、完全な水の中に、その足を踏み入れている。 想像以上というか、過去に経験した中で、最悪な状況だった。 ザアアアアアアアアア。 耳元でがなり立てるような水のぶつかり合う音に、まるで自分がとても狭い空間に隔離されたような、奇妙な感覚を覚えた。 肩にも背中にも、頭にも顔にも、シャワーよりも強くて痛い水が叩きつけられる。 目を開けているのも辛い。 何だよ。どういう雨だよ、こりゃあ。 心の中で毒づく。 「――ッ、…………!!」 何かが。音が、聞こえたような気がした。雨音の外側。 「進藤!」 「――エッ!?」 音が声になり、後ろから肘を掴まれて、グイと引かれた。 そのまま振り向かされた視界に、緒方の姿。 「お、緒方先生!?」 ヒカル同様にぐっしょりと濡れた姿の緒方が、ヒカルの腕を掴んだまま、そこに立っていた。 なんで、どうして? 何故緒方が雨にまみれて追いかけてきたのかわからずに、パニックに陥るヒカル。 そんな彼に対し、緒方は苦々しい表情でもって背後を指差した。 「リュック」 半ば怒鳴るような緒方の声に、ヒカルはその指の示す方向を見る。 「――……!!!」 あんぐりと、口を開けて目を見開いてしまった。 視線の先、棋院会館の正面入口の屋根の下。玄関を出てすぐの場所に、ヒカルが投げ出したリュックが、そのまま置き去りになっていた。 屋根の下に引き返すと、直接身体に当たらなくなったせいか、降りしきる雨の音は僅かに小さくなった。しかしそこに立つ二人の足許には、その身体からぼたぼたと流れ落ちる水滴で、ひと際大きな水溜まりが出来る。 「…………」 無言で呆けてしまうヒカル。我ながら、呆れてモノも言えないとはこの事か。 置き去りのリュックに気付いた緒方はすぐにヒカルに声をかけたのだが、この雨の騒音で、その声がまったくヒカルに届かなかったのだ。だから、ヒカルの許まで走って止めに行くしかなかった。 「このバカ」 「……ゴメンなさい」 突っ立ったままボソリと呟いたヒカルだが、ハタと思い出して置き去りにしたリュックまで走って、その中をあさった。いつも無理やり母に持たされるハンカチが、中に入っていたはずだ。そしてふいに母の顔を思い浮かべ、今朝「傘も持って行きなさいよ」などと言われていたのを思い出した。帰ったらきっと、何事か言われるに違いない。 「緒方先生」 リュックのポケットに入っていたハンカチを広げて差し出してみるが……緒方のあまりの濡れ具合に閉口してしまう。とても役にたちそうにない。 むー、と唸ってしまうヒカル。 「いらん」 ハンカチを差し出したヒカルに短く言い放って、緒方は広げられたハンカチを、そのままヒカルの頭上へと押し付けた。ガシガシとこすりつける。 う、とヒカルは再び唸る。正直、ヒカルが自分の頭を拭っても意味がない。どうせこれからまた濡れるのだし。 「送っていこうか?」 意外な言葉が緒方から飛び出した。 「えっ」 「これじゃどうしようもないだろうが」 言いながら緒方は、濡れた眼鏡を外して上着の中へと仕舞い込む。 「い、いいよ」 ヒカルは慌ててぶんぶんと首を振った。 濡れなくても良かったはずの緒方を濡れ鼠にして、その上この格好で緒方の車に乗り込むなど、言語道断のような気がした。たまたまここでヒカルと居合わせた、緒方の不運さ加減が哀れすぎる。 「この状況で遠慮してる場合か」 ほんのわずか水気の引いた前髪を、グシャグシャとかき混ぜられる。その手がバラリと髪を撫で梳き、いくつかの水滴をパラパラと落とした。 「それは……」 そうだけど。口の中だけで言う。 素直に緒方の言葉を甘受できない自分が、確かにいる。 どうして。 どうして自分は、この人と打ち解けられないのだろう。 ヒカルは考える。 基本的に、緒方は面倒見が良い。その面倒見の良さに自分がいかに世話になってきたか、さすがのヒカルも、もう自覚している。当たりの鋭さとか時々見せる大人気なさとか、そういう事で誤解されがちだが、緒方は悪い人間ではないのだ。というか、それでは表現からおかしい。ハッキリ言って、いい人だ。 大人気なくて、激しくて、厳しくてしつこいけれど。 何を考えているかわからない時が多いけれど。 それならどうしてヒカルが彼を苦手としているのかといえば、つまりそれは。 ヒカルの方に、後ろめたい秘密があるからだ。 緒方は自覚のないままに、それに触れようとする。だから、ヒカルは逃げる。 暴きたい訳でも、逃げたい訳でもないのに。 かの人が――佐為がどういう風に緒方を評価して、彼と打ちたがっていたか。ヒカルはそれを知っている。そして緒方が、ヒカルを通して見ていた佐為の姿も。 まるで自分はカヤの外だったようにも思う。 けれど緒方は、ヒカルの本当の打ち筋もその目にしていて、それに対しての評価だってそれなりに持っているだろうとも思うし、本当は、緒方の姿勢から学ぶものだって沢山ある事もわかっている。 ただ、怖かった。 いつもいつも本気でぶつかってくるこの人が。 はぐらかすような視線と物言いと、巡らされる策略。でもそれはいつもこの人の本当の姿で、嘘偽りなんてひとつもなかった。そんな緒方に、彼が一番必要としているはずの真実を、伝える事が出来ない。 佐為も、緒方も、自分も。誰も彼も。 それを望んでいたはずなのに。 その事を一番思い知らされる、緒方はヒカルにとって、そんな存在なのだ。 いっそアキラほど近かったなら、こんな思いもしなくて済んだのか。 それとも、行洋ほど一線を引いてくれていたなら。 わからない。 「進藤?」 声をかけられて、ハッとした。 多分、物思いに耽っていたのはものの数秒。 けれど、目の前の緒方に焦点を合わせた途端に感じた体温に、驚愕した。 濡れた髪に、頬の近くに感じる、手のぬくもり。 ダイレクトに伝わるそれにおののいて、ヒカルはハッキリと身を引いた。 「な、なんでもない……」 「おい?」 「帰る。サヨナラ!」 ヒカルは緒方を振り払うように、再びその場から駆け出した。 「進藤!」 今度はすぐに緒方の声がかかるが、振り向かない。逃げるようにその場を離れる。 ――あの人のあんな手を、オレは知らない。 緒方の体温を感じるのが、彼の知らない部分を知ってしまうのが怖かった。引きずられて、自分のすべてもどんどん漏れ出してしまいそうで。隠す事が出来なくなってしまいそうで。 しかし再び身体を濡らした雨の中で、ヒカルはあっさりと緒方の手に捕まった。 「進藤、リュック!!」 二度目の言葉。 「……」 またしても置き去りのままの、リュック。 あー……と、その場で頭を抱えるヒカル。 何度同じ事をしでかせば気が済むのか。己を呪う。 緒方も呆れたようにため息をついて、その腕を放した。 入り口まで戻る気力もなくなったかのように、ヒカルはその場に突っ立ったまま呆けた。 緒方もそこを動かない。 何が哀しくて、二人そろって激しい水の矢に打たれているのか。答えを出すでもなく、ただそうしていた。 何故逃げるんだ。 そんな風に言ったのだろうか。 緒方の口が動いたが、何を言っているのかわからなかった。 何故、逃げる――? 緒方は強い。 そして激しくて、少し優しくて、嘘がない。 それが辛い。 いっそ、何もかも言ってしまえば、楽になれるのだろうか。 例えそれで、佐為を、ヒカル自身を否定されても? 秘密は、打ち明ける事が怖いのではない。 その後に訪れる事態を、人は恐れるのだ。 ヒカルもしかり。 「佐為はさァ、俺の中に、いるんだ」 唐突に、声に出して言ってみた。 この雨の中、その言葉は、多分緒方には届いていない。 ずっと言えなかった事を、言った。けれど伝わらない言葉は、すぐに空気に溶けて消える。ヒカルの言葉は、きっと雨に流れただろう。 伝わらなかった言葉。 それにはまったく全然、意味なんてありえない。 自分があまりにも滑稽で、けれど妙に満足しているような、安心しているような、それでいて後悔しているような、妙な気分に心を支配される。 小さな告白。けれど届かない言葉。 一体自分は、何を望んでいるのか。 複雑すぎて、笑ってしまった。 「そんな風に笑うな」 緒方が言う。 怒気をはらんでいるような声音だが、そうではない。ヒカルに聴こえるように、大きな声で言っただけだ。けれど眉間にしわを寄せ、細められた瞳がまるでヒカルを睨みつけているようにも見えた。 視界の良くない雨の中、緒方が本気でヒカルを見据えたから。 そして少年の笑顔の中に落とされた深い陰に、その眉をひそめた結果だ。 いつもいつもヒカルの中に見え隠れしていて、正体の掴めなかったもの。時々容赦なく、緒方の心の中を支配していたそのものが、今ハッキリと姿を現したから。 「だって」 ヒカルはまた笑った。 だって、しょうがないじゃん。 あんた、一体何なんだよ。どうしてそんなとこに、立ってんだ。 なんでオレ、こんなにグチャグチャになってんだよ。 わかんねーから、笑うしかないじゃん。 なぜ逃げる? どうして追いかけてくるんだよ。 なぜそんな、どうしようもない笑い方をする。 どうしてこんなに、滅茶苦茶なんだ。 多分それは、雨のせい。 激しい雨が、二人の間に降り注いで視界をさえぎるから。 そんな中で、相手の事が良く見えるようにと、目を凝らしてしまったから。 だからきっと、今まで見えてなかったものまで見えてしまったりして。 だからそれは、雨のせい――で。 昨日までと、まるで違う、ふたりなのは。 ヒカルは、まっすぐに己を見据える瞳を、直視してしまった。 緒方は、深い陰を閉じ込めた瞳を、捉えてしまった。 長い事傍にいながらわかりあう事のなかった人が、それぞれの目の前にいて、その人をかたち作るものをさらけ出して立っている。 雨がそれを邪魔するから、一歩、近づいた。 びっしょりと髪を濡らした雨の粒が、幾筋もの河となって頬を伝う。 そんなお互いの濡れそぼった姿が、見た事もない程に無様で。 ――『奇麗』――だったのかもしれない。 緒方の頬を伝って、壊れた蛇口のように顎の線を伝い落ちる水の流れに、ヒカルはゆるりと手を伸ばした。 無意識だった。 その手を、緒方の手が捉えて、そのまま己の方へと引いた。 引き寄せられて、ヒカルの身体は緒方の身体にぶつかって止まる。当然の成り行き。 服を着たまま泳いだかのように濡れそぼった身体、その肩を強く抱かれて、気付いた。 どんなに激しい雨も、今の緒方とヒカルの間には、降り落ちてこない。 どうして、とは思わなかった。 ヒカルも。緒方も。 なぜ自分たちがこんな事になっているのか、疑問なんて、持たなかった。 だって雨が。 雨の音が、今のふたりの間には存在しないのだ。 ふたりの外側でだけ騒音をたてる雨に声はかき消されても、触れる身体の息遣いと体温を、ハッキリと感じる。互いの身体のあたたかさを知ってしまったら、それを容易に離す事なんてできなかった。 離れたら、強い雨にまた容赦なく邪魔される。 引かれた時のまま触れ合っている緒方の手を、ヒカルは恐る恐る握る。そして徐々に強く。そっくりその強さを返すように握り返されて、ふたつの手を、堅く堅く、つなぎ合った。 震えているのが、自分でわかった。 それでどうすれば良いのか、これからどうなるのか、まるで思いつきもしないまま。 降って湧いたような不可解な感情のままに、二人は体温を分け合ってしまった。 勢いだと言ってしまってもよかった。 「送る」 緒方が呟いた。 とても近くで聞いたから、それはヒカルに届いた。 「うん」 ヒカルは頷く。 多分これは、タイミング。 邪魔なものを払いのけようとしたら、トントンと近くに寄ってしまっていた。 こんなに滅茶苦茶に濡れて、ぐちゃぐちゃになって、本当にどうしようもない。 どうしようもないから、緒方とヒカルは一緒にいる事にした。 当然のように、そうなった。 これまでの日々がヒカルのジレンマであるなら、それを解消するにはこの人の傍にいるしかない。それが一番良い。そうする事で、いろいろな事を少しずつ、知って知られて。 そしていつか、何もかも。そんな時が来るのなら。 緒方も黙って、それを待つ。 今日この日に二人が偶然会わなかったら、こんな風にならなかったのかもしれない。けれどそんな事は考えない。『もしも』はすでに存在しない。 そんなもしもが存在するとして、今日の出会いがなかったとしても。 また別のどしゃぶりの日に、きっとふたりはこうなっていた。 それはタイミングで、成り行きで、結局は、はじまり。 ――そんなものだ。 あの時雨が、あんまりジャマだったからさ。 のちにヒカルは、時たまそんな事を呟くようになる。 そうして晴れた空を背にして笑うヒカルを、そこにいる緒方が見つめていて。 細められる瞳は、慈しみを秘めて、やわらかく。 それが彼らの、日常となる。 END |
●あとがき● ……煮えた……。このお話、書くのすごい疲れたよ〜〜。 しかし氷村、アレですねー、よくもこんなワンエピソードを、ここまでグダグダ長く書けますね。短くて素敵なお話を書ける人を、尊敬してしまいます。 まあ、雨に狂わされちゃったちょっとお間抜けな二人の話、って感じです(笑)。 ところであなたがた、他人に見られても知りませんよ〜。 |